【極意】脊柱管狭窄症の歩行障害で最も重要なポイント２選

【極意】脊柱管狭窄症の歩行障害で最も重要なポイント２選 https://jmrjmr.com/wp-content/uploads/2022/11/IMG_4199.jpg 640 361 日本徒手医学リハビリテーション協会-姫路発、疼痛治療を学びたい理学療法士必見日本徒手医学リハビリテーション協会-姫路発、疼痛治療を学びたい理学療法士必見 https://jmrjmr.com/wp-content/uploads/2022/11/IMG_4199.jpg 2023年1月18日 2022年11月20日

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シリーズ：歩行シリーズ

【極意】脊柱管狭窄症の歩行障害で最も重要なポイント２選

今日は脊柱管狭窄症の歩行障害の特徴について話していきたいと思います。

腰部脊柱管狭窄症は椎間板や椎間関節、黄色靭帯といった神経周囲組織の変性、肥厚により、脊柱管や椎間孔が狭小化することで、下肢の疼痛やしびれといった間欠性跛行が特徴の退行変性疾患となります。
脊髄の周りは軟膜・クモ膜・硬膜で覆われていますが、狭窄部の硬膜の外圧は
立位の腰椎伸展で最も高く、屈曲で低下すると言われています。歩行中は上昇と下降を繰り返し、下肢疼痛出現後に歩行を中止すると硬膜外圧は速やかに低下し、症状も軽減します。さらに、歩行中の硬膜外圧は2重支持期の腰椎伸展と一致して上昇し、体幹前傾歩行や小股歩行では腰椎伸展が軽減されるため、通常歩行と比較して外圧は低くなると言われています。
簡単にまとめると、歩行中は歩幅による影響が大きく、大股歩行で外圧が高くなり、通常歩行では外圧の変化があるので、前屈歩行を行う方が外圧の影響が少ないと言われています。
2重支持期は後脚が全遊脚期、前脚は荷重応答期にあたります。
前遊脚期では、身体重心が支持期の前方に移動するため、床反力が股関節に伸展モーメントが生じます。これに対抗するために股関節は屈筋の働きが必要になります。股関節屈筋の1つである大腰筋は腰椎椎体と肋骨突起に起始し小転子に停止するため、股関節屈曲モーメントを発揮する際に椎体を前方に引く力を生じます。よって、椎体の伸展を回避するためには、股関節屈筋の伸張性と腰椎の安定性が重要です。
また、荷重応答期では床反力が股関節の前方、膝関節の後方を通過するため、床面接地による衝撃を吸収するために膝関節の伸展筋力が必要となります。膝関節の伸展筋力が不足する場合には膝関節を伸展位で固定して支持性を補うために衝撃を吸収できず、腰椎に加わる剪断力が上昇し下肢症状を強めてしまうことが予測されますので、下肢の衝撃吸収機能に対してアプローチをする必要があると思います。
脊柱管狭窄症の患者様は痛みが出現するので腰椎伸展を避けて体幹前傾姿勢をとることが多いです。体幹前傾姿勢は持続すると脊柱筋に慢性うっ血が生じ、筋の萎縮を生じさせる可能性があると言われています。また、不安定性が増した腰椎では靭帯組織に対する機械的負荷が増大し、黄色靭帯を肥厚させ、結果としてさらに狭窄症状を強める可能性があるとも言われていますので、なるべく中間位を維持することが重要だと思います。

最後にまとめです。

間欠性跛行が見られる時は、前屈することで外圧が減少し、痛みが軽減されるので良いと思うのですが、前遊脚期では脊椎の安定性を高めるために腰椎中間位をできる限り維持すること。荷重応答期では床面に接する際の衝撃吸収を増大させない工夫が必要になってくると思います。

今日の内容はPTジャーナル2020年12月号に掲載されていますので、詳しく知りたい方は是非読んでみて下さい。

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