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シリーズ：片麻痺シリーズ
片麻痺患者さんが歩行時の立脚初期に内反足が生じるケース
【解説】
○立脚初期の内反は、遊脚期における前脛骨筋、後脛骨筋の過緊張に続いて生じることが多いです。
○足底外側面で接地し、踵への荷重に伴い内反が大きくなる場合は歩行に支障が生じやすいです。
○立脚初期の内反が荷重に伴って大きくなるかどうかは、足圧中心と距骨下関節軸の位置関係によって決まります。足圧中心から立ち上がる床反力ベクトルが距骨下関節軸の内側を通ると、内反モーメントが生じ、外側を通ると外反モーメントを生じます。
○したがって、立脚初期の足圧中心点を調整することで、内反を避けることができる可能性があります。
【理学療法のポイント】
① 遊脚期の屈曲共同運動により足部に生じる内反をコントロールするトレーニングを行います。
② 特に力を入れて振り出す場合には遊脚期の内反が生じやすいです。
③ 外側ウェッジを用います。
④ トレーニングによる改善が得られなければ短下肢装具を用いて固定します。
【理学療法の実際】
① 足関節トレーニング
○麻痺側下肢の協調運動を高めるために、下肢の内反、外反を意識した運動を行わせます。
○内反が足関節伸展に伴って生じる場合には、膝屈曲位での運動から始めます。
○ボールなどを用いると、運動を理解させやすくなる場合があります。座位や立位でボールを足底面で左右に転がします。
② 遊脚期の振り出しの再学習
○振り出し時の股関節屈曲を強調すると、足関節に共同運動としての内反が生じやすいです。
○この場合、麻痺側の屈曲ではなく、非麻痺側の骨盤の回旋運動により振り出すと内反が生じにくくなります。
③ 外側ウェッジを用いる
○外側ウェッジは、接床時の足圧中心点を移動させることができ、立脚初期に生じるモーメントの方向を変化させることができる可能性があります。通常の接地では内反モーメントを生じる位置であっても、外側ウェッジを用いて足圧中心を外側移動させることにより、外反モーメントを生じさせることができます。
○外側ウェッジは、足先接地が生じている場合には足底全体に入れ、踵接地する場合には中足部までのウェッジを用います。
④ 短下肢装具により固定する
○トレーニングによる改善が得られない場合には、短下肢装具により内反が生じないように固定します。この場合、Yストラップによる内反制動が必要になります。
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